サイナスリフトとソケットリフト

サイナスリフトとソケットリフトの特徴

「サイナスリフト」は、歯槽骨(しそうこつ:歯を支えている骨)が薄い場合、サイナス(上顎洞:頬の下の空洞)の鼻粘膜をアゴ側から持ち上げて手術することです。
「ソケットリフト」は、歯ぐき側から鼻粘膜を傷つけないように「手探りで」持ち上げる手術の方法です。

鼻粘膜は通常、卵の薄皮くらいの厚さしかありませんが、感染を起こして炎症をおこすと腫れてきます。
鼻粘膜を破って上顎洞に達するインプラントは、失敗なのです。

どちらも外科の熟練した「技術」と、神経・血管などの「知識」がなければ対応できない難しい手術です。
実は、他の医院さんの難手術も当院で承っております。

サイナスリフトについて

同時埋入の適応基準:4~5ミリ以上
待時埋入の適応基準:4~5ミリ未満

フィクスチャー(インプラント本体)が十分な初期固定を得られる骨質と骨量(4~5ミリ以上)存在する場合には、サイナスリフトと同時にフィクスチャーを埋入(まいにゅう)することが可能です。
この原則を守ることが、大変重要です。
残存骨量が1~3ミリで同時にインプラントを埋入し、合併症を引き起こした場合、再度のサイナスリフトは不可能か大変困難になります。

サイナスリフトとソケットリフトの比較

サイナスリフト ソケットリフト
患者への侵襲(しんしゅう:生体を傷つけること)度 比較的大きい 比較的少ない
全身への影響 大きい 比較的少ない
インプラント体の長さ 長いインプラント体を選択できる 制限がある
骨移植材の量 十分な骨充填材が必要。まんべんなく填入できる 少ない。偏りが出る場合がある
治療期間 既存骨によって異なる 既存骨によって異なる
インプラント体洞内迷入 リスクは少ない リスクが高い
洞粘膜の穿孔(せんこう) 少ない?確認できる 多い?確認できない
穿孔時の修復 ある程度修復できる 難しい
難易度 難しい 難しい

日本口腔インプラント学会編:口腔インプラント治療指針2012