オールオンフォーとザイゴマインプラント
そもそもオールオンフォー/ザイゴマインプラントとは何なのでしょう?
オールオンフォー(All-on-4)
上アゴあるいは下アゴのすべての歯を4本のインプラントで支える方法です。
ザイゴマインプラント(Zygoma implant)
ザイゴマ(頬骨=ほっぺたの骨)にインプラントを埋入する治療法です。
インプラントといってもいろいろな種類があります。
アゴの骨の中に埋め込むインプラント体に対して1本の歯だけとは限りません。
複数の歯がない場合に用いる上記の方法ですが名前からしてなかなかわかりづらいところであります。
「オールオンフォー」と「ザイゴマインプラント」についてその特徴と気を付けるべきリスクについて、先生に聞いてみました。
オールオンフォー/ザイゴマインプラント プチインタビュー
――オールオンフォー、ザイゴマインプラント、どちらもその日からご飯が食べられるということなのですが・・。
そうですね。
どちらも「即時荷重(そくじかじゅう)」といって、手術した当日に歯を作ってその日に噛めるようにしなくてはいけないので かなりの外科的手技が高くないと成功しません。
よく「オールオンフォー、あれはダメだよ」という先生がいますが、そんなことはありません、きちんとした方法と知識で行えば問題ありません。
コツがあるんですよ。
――どんなコツですか?
骨の中しっかりトルク(固定された回転軸を中心にはたらく、回転軸の周りの力。ネジ)を出して入れなくてはいけない。
――「深く入れる」という事ですか?
ただ単純に深くという意味でなくて、骨の削り方一つにしても「ココはこんなに削っちゃいけない」とか、「ここはもうちょっと深く入れなきゃならない」とか「硬い骨に絡ませなきゃいけない」とか「インプラントの先端を固い骨に固定させる」とか、いっぱいあるんですよ。
――「チェックリスト」が山ほどあるんですね、職人技ですね。
そうなんですよ。
手技(技術)と経験が必要です。
――チェックリストは、門外不出なのでしょうか?
いいえ、そんなことありません、ノウハウなんか流出しても全然構わない。
チェックしたからっていきなり出来るものではないので、いくらでも書いてください。
――ちなみに、オールオンフォーではガイドは使えるのですか?
うちでは、使います。
――チェックリストを、教えてもらえますか?
即時荷重・・・その日に歯を作るといういうことです・・「荷重」というのは「その日から噛めるという事」です。
それを実現するためには、インプラントをきつくしっかり入れないといけません。
緩いと噛めません。
――インプラントはネジ状のものなんですね。そのネジは効くものなのですか?ネジ通りに開けて、その通りに入るのですか?
ネジの穴をあける通常のドリルのプロトコール(手順)があるんですけれど・・・2ミリ、2.4ミリ、2.8、3、3.2とだんだん大きくしていくんですけれど、それを教えられた通りにやっていたんじゃ成功しないんですね。
――え?教えられた通りじゃダメ?
経験値とかいろいろ工夫しないといけない・・それが外科的手技(しゅぎ)の一つです。
外科的な「経験」と「手技」がしっかりしていないと、成功しない。
――経験が豊富で、且つ理屈も分かっている先生にお願いしないとダメなんですね?
そうですね。
骨があまりにも柔らか過ぎた場合は、その日に歯が入らないことも稀にあります。
それの見極めをしないといけない。
――CTではわからないのですか?
CTでおおよそわかるのですが、手術の段階で判断しないと分からないこともあります。
普通のインプラントではさほど問題ないことも・・・例えば骨が柔らかかったらインプラントを埋め込んで骨とインプラントがくっつくまで寝かせればいいのですが、即時荷重のインプラントの場合は、即日噛んで使うことになりますから、骨の硬さとのせめぎあいになります。
――骨が柔らかいという概念が、素人からすると不思議ですね。骨は固いものだと思っているので。
上アゴの骨は、軽石みたい・・スポンジみたいに柔らかいです。
骨の中が空洞化していたり、スカスカだったり・・・表面は固いんですが、中がスカスカだとズブズブって行っちゃうんです。
――ザイゴマインプラントって、どこまで来るんですか?
頬っぺたの骨のあたりです。
――ここまで入れて大丈夫なんですか?腫れませんか?
多少は腫れます。
ココ(ほっぺたの上の固いところを指で刺す)の固い骨に入れます。
――アゴの骨で支えられないから、頬の骨で支えるんですね?
そうですね。
これもブローネマルク博士が考えたんですよ。
オールオンフォーもザイゴマインプラントも副鼻腔炎のリスクがある。
――どういう人に起きやすいのですか?
鼻の粘膜を破ったり、もともと炎症がある所にやるとリスクが高まりますので、鼻・副鼻腔をよく診断してやらないといけません。
――鼻の状態をよく診てから?
耳鼻科的診断と必要な治療が先になります。
それをちゃんと見極められる、耳鼻科的なアプローチ、前処置が計画的に出来る先生かどうか?を知ることが大切です。
特にザイゴマインプラントは鼻と副鼻腔のチェックが必要ですね、サイナスリフトと一緒です。
あと、ザイゴマインプラントの一番のリスクは目です。
眼球への損傷に注意が必要です。
――ガイドは?
ザイゴマインプラントは、ガイドは使えないんです。
あるといいんですけれど、長いからちょっとのズレでブレちゃうんです。
――そんな話を聞くと、ものすごいうまい先生でないと怖くてお願いできないですね。リスクは目と鼻、ですね。でも、そんな事よく考えまたしたね。
ブローネマルク博士が今のインプラントのコンセプトの発明者ですね。
いずれもその先生が考えた方法です。
インタビュアー編集後記
オールオンフォーもザイゴマインプラントも、技術が高く経験豊富な先生でないと怖くてお願いできないなと思いました。